歴史

この集まりは、2004年度の夏学期に自主的な「勉強会」という形で始まりました。2004年度冬学期・2005年度夏学期には「全学自由セミナー」という授業として継続しています。毎回、教養学部の1・2年生を中心に、理学部数学科・情報科学科の学生や本郷・駒場の大学院生を含めて10数名の参加者がいます。コンテストの問題を宿題形式で解きお互いに批評を行う、アルゴリズムの解説を学ぶ、実際のコンテスト形式で解くといったことを行ってきました。また、セミナー参加者でチームを作りプログラミングコンテスト国内予選に参加することも行いました。セミナーからのチームは日本中から200以上のチームが参加する中、素晴しい成績を収め、1・2年生から成るチームが2004・2005・2007-2013年度とアジア予選への出場を果たしています。惜しくも予選に出られなかったチームも「各大学から3チームまで」という制限がなければ充分出場に値する成績でした。多くのチームが情報系を専門とする4年生や大学院生だった中で、1・2年生の力でここまでの結果が残せていることは将来が非常に楽しみです。

このセミナーの題材は、大学生を対象にした世界的規模のプログラミングコンテストです。プログラミング版「数学オリンピック」とも言える、ハイレベルな大 会です。最近になって日本からの出場チームも好成績を収めるようになってきたものの、優秀な日本の大学生の実力を充分に発揮しているとはまだ言えない状態 にあると思います。

私見ですが、その理由は経験ではないかと思っています。いまのコンテストのルールの下では、単にプログラミングが得意 であるとか頭の回転が早いといった才能だけでなく、コンテスト向けの問題に慣れておくこと、コンテスト向けの環境を知っておくこと、さらにはチームワーク を磨いておくことといった経験の差がモノを言います。ところがこの経験をするチャンスは(現在のルールでは)学部学生の間しかありません。そして多くの学 生は、学部3,4年生になってからコンテストの存在に気付き「ああ、1,2年生のときから参加しておけば今頃は……」と臍を噬んでいるのではないかと思い ます。

というわけで、表向きは授業というこの集まりの裏には、プログラミングコンテストへ向けてのはじめの1歩を踏み出すための契機とし ての勉強会という顔があります。「世界大会だなんて、今のボク・ワタシにはとんでもない」と思う人でも、何年後かに挑戦するときの土台作りだと思って参加 してみませんか?